欧州委員会にて「Stop Destroying Videogames」イニシアチブが受領され審査へ ゲームを「買う」か「利用出来る」のか

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 欧州委員会は現地時間の2026年1月26日、「Stop Destroying Videogames」と題された欧州市民イニシアチブが検討される事を発表した。本イニシアチブは2026年7月27日までを回答期限としたもので、委員会が審査する14件目の有効イニシアチブとなっているとの事である。

ゲームに対する継続プレイを問う判断

 このイニシアチブの趣旨がどういうものかというと、「EU域内でビデオゲームを販売またはライセンス供与する出版社に対し、当該ゲームを機能状態に維持する義務を課す」「出版社が遠隔操作でビデオゲームを無効化することを防止する」ということが要旨となる。欧州圏内、もしくはグローバル版として欧州圏でのサービスを展開しているゲームに対して、例えばライブ系コンテンツの様なリアルタイムでの更新が止まった場合でも、ゲームをプレイできる状態を維持するというものである。これはオンラインタイトルであれば、オフライン向けモードとしてサーバー停止後も遊べる様な措置をとるものだろう。

 もう一つの要旨は遠隔操作での無効化防止という、より踏み込んだ内容だ。例えばゲーム配信プラットフォームなどを使用している場合でも、ゲームメーカー側の都合で当該ゲームの起動を阻止したり、あるいはサービスインしているにも関わらず特段の事情無しにサーバーへの接続を行わせずプレイ不可能とするような措置に対する意見である。パッチなどを当ててソフトを起動不可にするような事も禁止する事を視野に入れているものと考えられる。

 今回のイニシアチブについては2024年6月の登録後、EUの市民から1,294,188件の有効な支持声明を獲得しており、24の加盟国で必要とされる支持票の閾値を達成している。そのため欧州委員会は正式に当イニシアチブを受領。欧州委員会は100万件以上の認証済み支持声明を伴う有効なイニシアチブを受領した場合、審査プロセスを開始し6ヶ月以内に回答を提出する義務を負うとの事であるため、本件に対して有効か無効かを問わずその結果が通告される事になる。

 今後数週間以内に委員会は主催者と会合し。当該イニシアチブの詳細を協議するとしている。その後は欧州議会による公聴会が開催される事となり、本件がどのような推移を見せるのか、多くの注目が集まりつつある。

Stop Killing Gamesとの関連性

 ここまで見てある程度ゲームに詳しい読者であるならば、容易に推察がつくであろう事柄が一つある。それは前々から話題となっている運動「Stop Killing Games」に本イニシアチブがほぼそのまま当てはまっているという事だ。同運動はUbisoftの提供するレースゲーム「The Crew」がライブサービスを終了した後、ゲームが一切プレイ出来なくなる仕様である事に抗議の声を挙げる運動としてスタートした。その後続編である「The Crew2」ではオフライン環境でもプレイできるように、オンラインのデータを移行する「ハイブリッドモード」が実装された。今後同社の手掛ける3作目「The Crew Motorfest」でも同じ仕様となるのか注目が集まっている。

 そしてThe Crewと同じ末路を辿ったのが、先日サービスを終了したオンラインTPS「Anthem」である。Electronic Artsが手掛ける同ゲームは2019年2月22日に発売されたが、その出来栄えなどから人気は低調のまま推移し、2026年1月12日でサービスが終了。以降、本作品はプレイそのものが不可能なタイトルとなってしまっている。これに対し一部のユーザーからはオフラインで遊べる仕様ではないことに対し、抗議の声が見られていた。

 ライブサービスを主軸にし、かつオンラインでサーバーと通信しながらゲームをするのが当たり前の昨今、オフラインで完全動作するタイトルとして「プレイ出来なくなる」のはゲーマーにとっては痛し痒しである。そしてプレイ出来ないという事は、折角ソフトを配信サービス上で購入しても、配信サービス提供側がそのプレイに対し責任を持たないという事でもある。

ゲームを「所有する」のか「利用する」のか

 Steamなどのゲーム配信プラットフォームでは、自社が配信するゲームコンテンツに対して「利用権」を提供するものであると定めている。これはゲームそのものを所有するのではなく、あくまでメーカー側のゲームを遊べるライセンスであり、ゲームソフトそのものを所有しているものではないという事だ。そしてこれは先述した「プレイ不可能となる」という状況に対し、プラットフォーム側が回避策として用意しているという見方がなされている。

 今回受領されたStop Destroying Videogamesはゲームの今後をどう変えていくのか、今後の推移に要注目だ。

1989年大阪生まれ。ゲームニュース編集者。8年以上の国内外ニュースライター・編集者を経て独立。国内・海外のPCゲーム、Xbox、Playstation関連ニュースや特集記事をメインに配信中。