ブループロトコル:スターレゾナンスが2025年11月にクローズドβテスト開始 ブループロトコルの躯からどう蘇るのか

 2025年9月28日、BOKURAが開発、XDがパブリッシャーとなるMMORPG『ブループロトコル:スターレゾナンス』の公式Xアカウントが発表を行った。日本向けクローズドベータテストが2025年11月に開催予定であるとの事であり、詳細は追って告知するとの事である。

 本記事では、東京ゲームショウ2025にも出展を果たした同タイトルの概要と、実質的な前作である「ブループロトコル(BLUE PROTOCOL)」について触れていく。

ブループロトコル:スターレゾナンスとは?

 同作はTencentが出資するゲームスタジオBOKURAが開発し、ゲームパブリッシャーとしてはXD Entertainmentを擁するXD Globalが、バンダイナムコゲームスよりライセンスを受けて提供するオンラインゲームだ。惑星レグナスに広がる広大な大地を舞台に、オープンワールド系のMMORPGとして開発が行われていた。中国では7月17日より正式サービスが開始している同タイトルであるが、日本でのサービスインに向けて準備が進んでいる情報は逐次発信されていた。今回は日本におけるサービス前の本格的な慣らし運転と言えるだろう。

 同作は先述した前作「ブループロトコル」と同じシリーズ「PROJECK SKY BLUE」に位置するタイトルであり、その後継作として期待されていた側面もあってか、今回の発表に色めき立つユーザーの声がSNS上では見られた。では前作であるブループロトコルとは一体何物なのだろうか?

遅すぎたブループロトコルのサービスイン

 オンラインアクションRPG「ブループロトコル」は、アクション要素を緩やかに含むものの、基本はスキルを使用しながら敵との位置関係を考えて立ち回っていくオープンワールド系オンラインゲームとなっている。アニメーション風のキャラクターデザインや、同様の色彩で描かれたワールド、街並みのダイナミックさといった要素や広大な世界を舞台に冒険する開放感のあるフィールドなど、そこかしこにダイナミズムを感じさせる要素が多い作品であった。

 プレイヤーは7つの「クラス」と呼ばれる職業を持ち、それぞれが得意・不得意な要素を持っている。クラスに備えられたスキルで戦闘を有利に進めながら、アニメチックなストーリーを進めていったり、強敵が潜む領域へと挑戦し最奥に潜むボスを倒したりといった目標を達成していく。プレイヤーに対するカスタマイズ要素はかなり多めであり、またリアルなグラフィックではなくアニメ調でキャラクター達が描かれる様子はユーザーから好評をもって迎えられた。

 さてここまでの文章のうち、ブループロトコルについて過去形であった事に気付かれたユーザーも居られるだろう。同作はバンダイナムコオンラインとバンダイナムコスタジオによる共同プロジェクトチーム「PROJECT SKY BLUE」が開発していたゲームであり、ゲームのサービスインは2023年6月14日と最近である。しかし2025年1月18日にサービス終了となり、ユーザーから惜しまれつつその幕を閉じたのであった。

 しかし同ゲームが話題となるのは、そのサービス内容よりもむしろ開発期間の長さである。原点となるPROJECK SKY BLUEは2014年にスタートし、2019年6月28日にブループロトコルの情報は各ゲーム情報サイトに出回っていく。2019年7月にはクローズドβテストの第一回を実施し、この時点ではユーザーから大きな注目を集めていた。2020年には4月、11月とテストを重ねてリリース間近と思われていた。だがその後、3年後となる2023年3月31日にネットワークテストが実施。そしてようやく2023年6月のサービスインとなったのである。

 ゲーム設計を開始した当初の環境では、オンラインゲームはまだ流行りのコンテンツであり、グラフィックもリアル調のものが中心となっていた。そこにアニメ調という当時新機軸のグラフィックを引っ提げ、広大な世界をアクション要素緩めで冒険出来るシステムは歓迎される要素となっていたのである。2012年よりサービスインしていたオンラインゲーム「PSO2」(ファンタシースターオンライン2)がまだまだ人気であり、それよりはゆるいアクション要素の「TERA」も同じく人気が衰えていない時期であったため、ターゲット層の絞り込みとしては申し分なかったのだろう。

 だがそれはあくまで2010年代におけるシステム設計のまま、同年代にゲームがリリースできた場合に注目株として取り上げられたという話になる。2023年にリリースされた同作だが、「マルチプレイ前提の調整がされたダンジョンのソロモードについて、マルチプレイと同じ敵の強さでレベル制限を設けただけの苦行仕様」「アドベンチャーボードというクエスト進行システムが不親切かつ作業要素が強い」「特定のエネミーを討伐するコンテンツ以外でのコンテンツの旨味が少ない」といった、おおよそ2020年代のコンテンツ花盛りとなった時代には合わないゲーム性が取り上げられる事となった。

 もちろんこういったシステムは、コンテンツ黎明期であった頃や2010年代ならばまだ「マゾいけれど受け入れられる」という土壌はあっただろう。しかし同じ様なシステムを実装し後に撤回するに至ったPSO2の前例があり、そしてリアル調だがアクション要素が強いMMORPGとして2015年に「黒い砂漠」が日本でリリースを開始している。極めつけには、昨今ではアニメーション的表現を用いて遊べるオープンワールド系コンテンツはスマートフォンアプリを中心に広がり続けている状況だ。最早ゲームを作り直す程の努力がなければ、立て直す事は難しかったのではないだろうか。

 今回のブループロトコル:スターレゾナンスはゲーム全体を再構成した上でリリースされる、パラレルワールド的作品であるとの事だ。難産であったが故に遅すぎてしまったブループロトコルの評価に対し、どこまで健闘することが出来るのか。リメイクともリマスターとも違う同作の立ち位置が明確になるβテストの時を楽しみに待っていようではないか。

1995年名古屋生まれ。Eスポーツニュースエディター。Eスポーツ専門雑誌の記者として5年勤務後、独立。国内外のEスポーツ業界の最新ニュースや特集記事をお届け。