モンスターハンターワイルズ、無料アップデートが終わるもコンテンツ継続の可能性は黄色信号

モンスターハンターワイルズのイメージ画像

  マルチプラットフォームで発売されるタイトルが増える中で、ゲーム開発はそれぞれのプラットフォームに最適化したバージョンのソフトを設計する必要がある。特にXboxの最新版の様な機種による構成要件の違いや、PCにおける膨大なプレイ環境のブレをなんとか克服しなくてはならないというのは、ゲームが大型のタイトルであればあるほど面倒な要件としてつきまとう事になる。そして、それは時に大作というソフトの首を締める誤った選択となり得る可能性も出るのである。

 カプコンより発売中のハンティングアクションゲーム「モンスターハンターワイルズ」は、2025年12月16日にタイトルアップデート第4弾を実施した。これにより無料アップデートは終了し、本作はDLCコンテンツが出ない限り拡張が行われない状態となった。ここまでであればよくある話だが、それと並行してもう一つ出された告知がユーザーの間で問題視されている。「ゲームの品質改善に関する取り組み」として題された文章の内容は、同作の動作安定性の向上という、おおよそAAA級タイトルでは見られない「発売前にやっておくべき内容」であったからだ。

不安定さを抱えた新規タイトル

 同作は元々PC向けに先行ベータテスト版が配信されており、その後ベンチマーク化したデモ版が配信されるという流れでPC版プレイユーザーに対してアプローチを行っている。先行ベータテストではグラフィックを含め処理の高負荷が話題となっており、快適な動作に支障を来すユーザーが多く見られた。その後ベンチマーク版ではローディングの快適さも含め、それらの問題を改善する動きが見られていた。これでユーザーは安心して同作を購入し、プレイするに至ったのである。

 しかし製品版のアップデートが進む中で、次第次第に動作の安定性が損なわれる様になっていった。クラッシュ、一般的にはCTD(Crash To Desktop:ソフトが急停止し強制終了する事。デスクトップ画面が強制的に表示されるためこう呼ばれている。)と呼ばれるこの現象に対する報告が相次ぐ中、同作をプレイしていた配信者の高性能PCで配信プレイ中に動作を停止するという事態まで発生してしまう。

 幸いにもPC本体にダメージが蓄積する事はなく、同配信者は後日ソロで該当モンスター「オメガ・プラネテス」の討伐に成功している。だがこの一件が決定打となり、それまで燻っていたユーザー達の不信感が一気に溢れ出す結果を招いてしまったのである。同月にはお供キャラクターである「アイルー」が特定の装備を身につけているだけでPC版の同作がCTDを起こすといった事態も発生し、追加で信頼を失った事も重要なファクターである。

 その後もXboxSeriesSとPS5Proという、両極端なハードに共通してモンスターのグラフィックが極端にローポリゴン化する現象が発生。PC版の先行ベータテストで見られたこの不具合が機種問わず発生する事が明らかとなり、ここに来て「ハードウェアの問題でなく、ソフトウェアそのものが問題の原因である」という認識がプレイヤー間に広がってしまった。なお、無料アップデート第4弾で実装された古龍「ゴグマジオス」戦にて、攻略に必須のNPCが明らかにおかしい挙動を取るバグが発生したことで、「開発力が無いのではないか」とユーザーから失笑を買ってしまっている。種々の不満点が未だ解消されていない事も相まって、ユーザー離れが進むのではないかという危惧はむべなるかなである。

今後のアップデートに対する諦観と先行事例

 カプコンが10月29日、2026年3月期第2四半期累計(2025年4月1日~9月30日)決算を発表しているが、それによればモンスターハンターワイルズの2025年4月から9月の発売本数は63万7千本。それに対して過去作であるモンスターハンターライズの販売本数は64万3千本と、過去作の方がまさかの売上上位に食い込んでいる。2025年2月28日発売時点で1000万本も売り上げたモンスターハンターワイルズであるが、その後の売上増加は見込めていない状況が続いている事が分かる。

 非公式データサイトであるSteamDBでは、過去作「モンスターハンター:ワールド」が現在も27,000人程のアクティブユーザーを抱えており、モンスターハンターライズは1万6千人程のユーザーを維持し続けている。対してモンスターハンターワイルズは、アップデート後こそ接続人数は跳ね上がったものの、接続人数最低値として13,000人程のユーザーしか接続していない状況の時もあった。これは発売から1年も経過していない2025年5月25日、『ストリートファイター6』スペシャルコラボや上位の強力なモンスターが追加される直前の接続人数である。この状況を踏まえれば、アップデートをカンフル剤としてなんとか生きながらえている状況と判断されてしまう可能性は高い。

 リリース当初こそかなりの不評であったが、度重なるアップデートで不具合を克服し、ユーザーの満足度を大幅に引き上げ「圧倒的に好評」までこぎ着けたケースとして「No Man’s Sky」や「Cyberpunk 2077」といったソフトが先行で挙げられる。これらのソフトは発売から時間が経っているものの、未だに安定した接続人数を確保し続けている。マルチプレイ前提ではないとはいえ、苦境を乗り越えユーザーに愛され続けるソフトとなった証左といって良いだろう。

 現在モンスターハンターワイルズは、過去作で言う「G級」のような、より上位の追加コンテンツが実装されるのかすら怪しい状況となっている。これは、IPとして重要な立場にいた同作が大きな苦境に立たされている事に他ならない。新しいモンスターや環境を追加する前に、ユーザーが納得する足元から見直していく必要は十分にあるのではないだろうか。

1995年名古屋生まれ。Eスポーツニュースエディター。Eスポーツ専門雑誌の記者として5年勤務後、独立。国内外のEスポーツ業界の最新ニュースや特集記事をお届け。