株式会社カプコンは、以前より企画されていたモンスターハンター関連の情報を公開する自社のYoutube番組「モンスターハンターショーケース」について、青森県沖を震源とする地震の状況を鑑みて配信を延期していた。そしてこの度、「モンスターハンターショーケース」につきまして延期後の日程を12月11日に決定したことを同日通知している。
公開日時は日本時間で2025年12月11日(木)17:00からのスタートとなっている。今回の「モンスターハンターショーケース」では、プロデューサーの辻󠄀本良三氏が2026年3月13日(金)に発売を控える『モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~』の新情報を公開。また12月16日(火)配信予定の『モンスターハンターワイルズ』無料タイトルアップデート第4弾の詳細を通知するとの事である。
この時点で動画がプレミア公開から一般公開に変わるため、誰でも視聴する事が可能となっている。動画は約20分程度の長さが予定されており、『モンスターハンターワイルズ』は、無料タイトルアップデート第4弾以外の新たなゲーム情報は無いとの事である。
モンスターハンターシリーズの行方
今回のモンスターハンターショーケースで間違いなく注目を集めるのは、今配信中のモンスターハンターワイルズである。発売当初こそ凄まじい売上本数を叩き出した同作だが、その販売本数は思った以上に苦戦している。Steamのデータのみを参照する形ではあるが、非公式データサイトのSteamDBではGamalyticの予測する販売本数は593万本。前々作にあたるモンスターハンター:ワールドが同サイト予測で1600万本という数値となっている事からみても、本数にかなりの開きがある状態だ。
原因としては幾つか要素が考えられる。まず1つ目は発売直後からのコンテンツの息切れである。ラギアクルスの実装などが立て続けに行われた同作だが、その後のファイナルファンタジーXIVとのコラボレーション企画にて実装された敵「オメガ・プラネテス」はモンスターハンター:ワールドのコラボエネミーである「ベヒーモス」同様にロールを前提とした立ち回りが要求され、かつガード系武器に対しては高い削り能力を持つ攻撃を頻発してくるという高難易度ぶりを発揮。併せて実装されたコラボ装備やエモーションなどは独自性が感じられるものであったが、ややずさんな調整と受け取られる内容であった。
また2025年12月の無料アップデート第4弾で『モンスターハンター4G』に登場する古龍「ゴグマジオス」が実装される事が決定しているが、ここまで古龍種がワイルズに登場する事は無かった。またコンテンツの追加要素は現状ラギアクルスや「タマミツネ」といった既存のモンスターの追加のみに留まっている事から、コンテンツの実装速度が余りに遅いのではないかという不満がユーザーから漏れ出ている。
2つ目はコンテンツの最適化不足だ。ゲーム起動中にエラー落ちする報告が本作では多く見受けられており、筆者も少ないプレイ時間ながらレ・ダウ討伐中にゲームがクラッシュしやり直しになる事態に見舞われた。公式がPC版においてはグラフィックボードのドライバを調整するアナウンスを投げかける異例の対応を取る中で、輪をかけて悲惨なのがXbox Series Sだ。対応ハードでありながらスペックとしては一歩劣る同ハードでは快適なプレイ環境が保証されているとは言い難い。結果として同ハードでのプレイは現状非推奨とされてしまっている。
そして3つ目が今回のショーケース前にSNSで話題となった、コンテンツそのものの方向性である。プレイヤーが求めるモンスターハンターが「モンスターの狩猟」に重きを置く声が多く出ているのに対し、今回のワイルズについてはモンスターの挙動に拘るシミュレーション的な作り込みを謳っていた。だが結局の所、モンスターの襲撃を避けてモンスターが隠れるといった挙動はなく、また注目されていた群れに対する戦闘は現在ドシャグマでしか生かされていない状況であり、コンテンツとして練り込み不足のまま実装してしまった感は否めない。ストーリーにおいても生命の循環をテーマとする様な物語でありながら、作中の重要モンスター「アルシュベルド」が最終的に繰り返し狩猟可能なシステムとなってしまっているのは、やや見直しの余地が必要だろう。なおワールドにおいては同じ重要モンスター「ゾラ・マグダラオス」「ゼノ・ジーヴァ」「アン・イシュワルダ」などについては「回想」という様な説明書きからのクエスト進行であるため、そういった配慮がなされている事は特筆すべきである。
今回のモンスターハンターショーケースでは次回のゴグマジオス実装のアナウンスのみとなるだろうが、現状本作の評価はSteam上では日本語レビューで「やや不評」、最近のレビューでも「賛否両論」と手厳しい評価だ。今後のシリーズの命脈を繋ぐ一報を期待したい所である。
