ファイナルファンタジーVIIリメイクシリーズ最終作はUnreal Engine 4で製作 問われるゲームエンジンの使い勝手

Unreal Engineのロゴ

 海外メディアGameSpotは2026年1月23日(現地時間)掲載の記事にて、ファイナルファンタジーVIIリメイクシリーズのディレクターを務める浜口直樹氏がインタビューに回答。現在ファイナルファンタジーVIIのリメイク版で使われているゲームエンジンはUnreal Engine4であるが、これを5へとアップグレードすることなく、最終章まで4を使用して作成する事を明言した。

 Nintendo Switchに向けて「FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE」発売が迫る中で、今回改めて同エンジンを使用する事を表明した形だ。今回の記事では昨今のゲームの製作に欠かせないであろうゲームエンジンについて取り上げていく。

ゲームエンジンと表現の方法

 先述のインタビューにて浜口氏は「Unreal Engine 4を使用してきましたが、私たちのニーズに合わせて多くの変更を加えてきました」と語っている。「(ゲームエンジンについては)すでに使い慣れていて、ニーズに合わせてカスタマイズしたものを使う方が、より効果的です。」との事である。スタジオ内で既にカスタマイズを施している事から、敢えて新規環境となるUnreal Engine5に移行せずに4を使い続けるというのは良い判断だろう。

 ここでゲームエンジンというものについて軽く解説を挟ませてもらうと、ゲームエンジンとはゲーム制作を円滑に行う為の様々な効率化処理を担うソフトウェアだ。例えばThe Elder Scrolls Ⅳ:Oblivionに使われていたのは物理エンジン「Havok」である。これは物体に接触した際の挙動の演算を行う為のソフトウェアであり、これにより物体に接触したモデル、接触されたモデルがどのように3D空間で振る舞うかを定義してくれる。リアルな物の動きが表現出来るため、当時画期的であると話題になったのは知る人ぞ知る話だ。またゲームの中ではよく見かけるロゴの「CRIWARE」は、同名の企業が販売している音声向けデコーダーのブランドロゴであったりする。こういった映像や音声の処理を行う要素も含め、ひとまとめにソフトウェアとしてパッケージングしたものがゲームエンジンである。

 ゲームエンジンは先述したUnreal Engineの他に、スマートフォンアプリを含め幅広い領域で利用されているUnity、一部タイトルで利用されているCryENGINEなどが一般的なゲームエンジンとして挙げられている。その他企業の内製ゲームエンジンとして、カプコンのREエンジンやコーエーテクモゲームスのKatana Engine、エレクトロニック・アーツ製のFrostbiteなどが挙げられる。内製エンジンは企業内での開発を行う為のゲームエンジンとして、独自の要素を作り出す為のカスタマイズが施されている事がほとんどである。

 近年ではゲームエンジンが映像表現の媒体として利用される事も多い。映画などの映像作品でも利用されるゲームエンジンのあり方を巡っては、海外メディアであるBUT WHY THO?にて映画監督のゴア・ヴァービンスキー氏が「UnrealゲームエンジンがVFXの世界に参入してきた」事でライティングや撮影技術といった見た目に拘ることばかり重視されている、と苦言を述べている。これに対しEpic Gamesの VFXスーパーバイザーであるPat Tubach氏はVGCの掲載記事の中で「10~15年前、『パイレーツ・オブ・カリビアン』のような超大作VFX映画に携わっていたアーティストたちは、Unreal Engineほどパワフルなツールがあれば仕事が捗ると夢見ていたに違いありません。」と述べている。真っ向から対立意見が生まれる程に、ゲームエンジンが映像表現に与える影響は大きくなっているのだ。

ゲームエンジン変更を行うか否か

 Game Developers Conference(GDC、ゲーム開発者会議)の2025年の調査「STATE of the GAME INDUSTRY」によると、ゲームエンジンを使用している企業のうちUnityを使用している企業とUnreal Engineを使用している企業は共に32%ずつ、両エンジン合わせてゲーム開発環境の64%ものシェアを占めている。内製エンジンは13%の割合となっているが、それでもやはり2大エンジンの影響は大きく、それ故にソフトウェア更新の影響も大きく出てくる。

 ゲームエンジンに更新が入る場合、バージョンアップで表現の幅や処理の変更といった様々な要素が刷新される。新しい表現が出来る事を歓迎する声もある一方で、既存のエンジンのバージョンで作られたソフトウェアが大きければ大きいほど、再構築には時間が掛かり、場合によっては不具合が発生する可能性も出てくる。浜口直樹氏がUnreal Engineのバージョンアップを行わなかったのは、まさにこの点を警戒しての事だ。とはいえ新しいゲームエンジンであればあるほど、その表現はリッチになっていくし、開発者の声を汲んで「作りやすい」仕様になっていく。

 内製エンジンを用いるのも一長一短である。Anthemの諸要素実装における大きな敗因は、チームがFrostbiteエンジンに不慣れであった点だと語られており、またモンスターハンターワイルズにおける処理最適化の困難さや初期実装を試みた要素が省かれている点は、REエンジンとの相性の悪さではないかとユーザー間では推測されている。

 ゲームは兎角大作になりやすく、作る手間も増えがちである。クリエイターに対し「最適な、作りやすい」ゲームエンジンを各社が模索し続けるのは、ある種クリエイティブを行うが故の宿痾である。いたちごっことならないだけの開発環境を整える事が、まだまだ必要となりそうだ。

1987年東京生まれ。ゲームニュース編集者。10年以上の国内ニュース記者および編集職を経て、現在フリーエディターとして活動中。国内・海外の業界ニュースやトレンドを中心に日本の読者にいち早く情報をお届け。