株式会社Phoenixx(フィーニックス)(東京都武蔵野市、代表取締役社長:坂本 和則)は、「東方Project」ファンゲームの弾幕シミュレーションRPG『幻想少女大戦 – DREAM OF THE STRAY DREAMER -』を、Steamにて10月21日(火)に配信開始したと発表した。本作は2022年にNintendo Switch版がリリースされており、足掛け3年でPC環境への対応を果たした形となる。
幻想少女大戦と東方Project
同作は「東方Project」というシリーズをモチーフとしたシミュレーションゲームである。ゲームシステムとしては原作に存在するキャラクターが使用可能なユニットとして、敵との交戦時に所狭しと画面内をアニメーションしながら戦闘を行うタイプの作品となる。似たようなジャンルとしてはゲームシステムでは「タクティクスオウガ」や「ファイナルファンタジータクティクス」などが挙げられるが、直接的なオマージュ元としては「スーパーロロボット大戦」シリーズや「Gジェネレーション」シリーズといった作品が近い。
また「東方Project」について紐解くと、同作品は派生作品を除けば基本的には2D縦スクロールシューティングゲームの同人ゲーム作品だ。いわゆる「弾幕シューティング」というジャンルに属し、敵が放ってくる膨大な量かつ一定の規則性がある大量の弾(弾幕)を、いかにギリギリで回避しながらステージを突破していくかを競うゲームとなっている。登場するキャラクターも一癖二癖では収まらないキャラクター性を持っており、各種神話や伝承といったものと関連したキャラクター造形や聴き応えのあるBGMが評判となっている。
元々様々な二次創作作品が出る東方Projectシリーズではあるが、今回の幻想少女大戦もその一括りと言えるだろう。そして東方Projectシリーズそのものの歴史も非常に長いため、制作されたシリーズ作品や二次創作ゲームの数も膨大なものとなっている。
ここで問題となっている事が一点存在する。同シリーズに限らず、歴史が長過ぎる・古すぎる同人ゲームについて「ダウンロード販売どころか入手が出来なくなる」という問題だ。
ゲームプラットフォームは同人ゲームの受け皿となるか
先述した東方Projectシリーズであれば、「旧作」と呼ばれるPC-98環境で動作するタイトルや、WindowsXP発売以降にリリースされた「東方紅魔郷」「東方妖々夢」「東方永夜抄」や、派生作品である格闘ゲーム「東方萃夢想」などが配信されていないタイトルだ。幸いな事にこれらのタイトルはAmazonなどの通販サイトで、販売当時の定価よりは高いが購入する事は可能である。もちろん、現環境でプレイできる保証がないものではある。
そしてその辺りの時期、2000年代前半から2010年頃に出た同人作品については入手不可能、もしくはオークションサイトでの保証の無い購入に頼るしかない状況となっている。どういうことかと言えば、Steamなどの配信サイトが同人作品を積極的に取り扱うようになったのはここ最近の話だからだ。DLSiteなどの販売サイトはあったものの、販売登録を行っていない同人ゲーム作品も存在し、現在では著作権者が販売やサポートを取りやめたり、あるいは著作権者とのコンタクトが取れない「アバンダンウェア(Abandonware)」となってしまっている。筆者がやり込んでいた同人格闘ゲーム「ヒノカケラ」シリーズはその典型であり、2013年以降更新が途絶えてしまっている上にソフトウェアの在り処も不明なままである。
無料ゲームとはまた違うものとして生まれた同人ゲームは昨今では「インディーズゲーム」という括りで纏められており、昨今ではクオリティの高い作品も相応に出てきている。最近話題となった「ホロウナイト:シルクソング」などもその一例だ。こういったタイトルは公開直後話題とならなくとも、ユーザーが作品を確実に見つけ出し、プレイする事で有名タイトルとなる事もある。放置型ゲーム「Update Labs」は無料ゲームながら配信で取り上げられた所、急激にダウンロード数が伸びて注目を集めたタイトルだ。
ゲーム販売プラットフォーム上に作品が残るのであれば、どういったタイトルであれ取り下げられない限りは存在し続ける。そして気が向いたら自由にダウンロードを行う事が可能なのである。物理的にソフトウェアが手に入らなくなる事態や違法ダウンロードにユーザーが手を染める前に、出来る限りのソフトウェアを囲っておくことは、決してプラットフォーム側にとっても悪い話ではないのである。
