「DREADNOUGHT TARTARUS」が『巨大戦艦タルタロス』として日本語対応を即座に完了 高まる日本語ユーザーのニーズとローカライズの特殊性

巨大戦艦タルタロスの画像

 ゲームクリエイターであるBenkimchi氏は自身が手掛けるインディーゲーム「DREADNOUGHT TARTARUS」について、X上にて1月3日、好評を受けSteam上に日本語対応ページを作成した事を発表した。同作は元々日本語対応を行う予定であったものの、Xにてインディーゲームを紹介するアカウントに取り上げられて以降、急速にウィッシュリストの登録数が増えたとの事である。同作の日本語ページでは、作品タイトルを『巨大戦艦タルタロス』と明記している。

 同作は巨大戦艦をモチーフとしたタワーディフェンス系のタイトルとして開発が進められている。巨大戦艦に多数の砲台や武装を搭載し、戦艦そのものをグレードアップしながら敵をいなしていくシステムと見られており、2026年第3四半期のリリースに向けて製作者は急ピッチで開発を進めているとの事である。

 迅速な日本語ページ作成は、同作を待ち望むユーザーから歓待をもって迎えられる事になった。手早いローカライズ対応については日本のユーザーは兎角好印象を持つため、同作の初動は良好となる可能性は高いだろう。本記事ではそんな「日本語ローカライズ」の事情について、PCゲーム領域を主軸に取り上げてみる。

日本と世界のゲームの言語事情とMod

 日本におけるゲームの需要は昔から高く、そして日本発のゲームは世界に大きな影響を及ぼしてきた。任天堂は言うに及ばず、カプコン、コナミ、ナムコ、ソニー(SCE)にタイトー、セガ、SNKなどなど、枚挙にいとまがない程に世界で通用するメーカーは数多い。多くのゲームが海外へ影響を与えるとともに、グローバル市場で展開するゲームも徐々に日本国内へ流入し始めた。その鏑矢とも言えるのが、2002年にXboxでリリースされた「Halo」、そしてその後にPS2とPCにてリリースされた「Grand Theft Auto:San Andreas」、PCにて先行リリースとなった「The Elder Scrolls Ⅳ:Oblivion」、「Fallout3」といったタイトルである。

 本格的な海外発タイトルとして、海外産ハードであるXboxと共にリリースされたHaloは日本におけるFPSゲーム市場を開拓し、海外ゲームにおけるFPSというジャンルの魅力と規模を目の当たりにする事となった。折しもMicrosoft Windows XPを搭載したPCが2001年より発売され、ADSL回線の普及も伴って一般家庭にPS2やXbox、そしてPCが浸透する事となった。

 ここでゲームをプレイするのに対して一つ問題が発生する。PS2やXboxといったハードに対してリリースされているゲームは、音声とインターフェイス、もしくはインターフェイスのみであるが日本語表記がしっかりなされている。しかしPC向けタイトルとしてリリースされたゲームは基本的に北米版が先行発売される形となり、日本語版についてはそもそもPC向けにリリースされていないという状況となったのである。

 そこで有志が目をつけたのがModである。GTASAもOblivionも、構成ファイルに日本語字幕を表示可能とするModを導入する事で、内部に表示されるテキストを英語から書き換える事に成功。日本においてPCゲームをプレイするユーザーが一番躓きやすく、かつModの効力が見て分かりやすい言語設定という壁を超えさせる良い教材として機能したのである。

 余談として、OblivionやFallout3の話ではあるが、当時両作がリリースされた際は、現在のNexus Modで提供されているVortexのようなMod管理ツールは存在していなかった。それぞれ「OBMM(Oblivion Mod Managaer)」や「FOMM(Fallout3 Mod Manager)」といった管理ツールと、また別の最適化ツールを組み合わせて運用を行っていたのである。幸いにも両作はCreation KitというMod制作支援ツールを公式で配布していた為、英語しかローカライズファイルが存在しないModであっても、やろうと思えば自力でテキストファイルを日本語に置き換えてしまう事が出来たのである。辞書を片手に翻訳に勤しんだ諸兄もいるのではないだろうか。

昨今の日本語ローカライズ事情

 さて月日が流れ、The Elder Scrolls Ⅴ:Skyrimがリリースされた辺りでは、PC向けタイトルであっても日本語音声・日本語字幕というタイトルが増えてきた。そしてインディーゲームが目立ち始めると、テキストだけでも日本語にローカライズされる流れも出来始めたのである。ただしここで問題になってきたのが、開発における日本語翻訳の質である。テキスト量が膨大になれば、それだけ文意の取り違えや単語の翻訳ミス、文章として不自然な内容や表現となってしまう事がある。特に最近では公式が提供するテキストが「分かりにくい」海外産のソーシャルゲームもまた増えており、ユーザーが離れてしまう一因にもなりかねない状態だ。

 ソーシャルゲームを中心に課金額が多い日本という市場ではあるが、それでも話者の人口を単純に比較してしまえば60人に1人という割合だ。圧倒的に英語話者が多い世界においては、スローン・アンド・リバティの様なタイトルが日本語音声の収録を打ち切るといった判断を行うのもやむを得ない。全てのゲームがローカライズされる訳ではなく、またローカライズの品質を保証できるスタジオが全てでもなく、加えてModが適用できない環境のゲームもまた存在する。作品によっては「こうであればもう少し自然な内容になるのに」と思う様なテキストも少なくないだろう。

 日本もゲームプレイ人口の多い国の一つである。今後も日本語で出来る限り多くのゲームが遊べるように、円滑なローカライズが行われる土壌を整備する必要は大いにあると見て良いだろう。

1995年名古屋生まれ。Eスポーツニュースエディター。Eスポーツ専門雑誌の記者として5年勤務後、独立。国内外のEスポーツ業界の最新ニュースや特集記事をお届け。