世界中の大手ブランドやアプリパブリッシャー向けに、インサイトに関するデータを提供する企業であるSensor Towerがレポートを発表した。ソーシャルVRプラットフォームのVRChatにて、公式サイトの訪問者数を調査したところ、なんと日本が割合一位という驚異的な結果が出ている。本記事ではVRChatにおける日本ユーザーの影響力について深堀りしてみよう。
日本が影響力を持つフィールド
Video Game Insights上のデータを元に詳細を見ると、VRChatそのものが、Steamにおける「サンドボックス」というサブジャンルにおいて、平均DAU(一日辺りのアクティブユーザー)ランキングでトップとなっている。これは長らく人気のGarry’s Modよりも僅かに高く、宇宙系サンドボックスゲームとして人気作となったSpace Engineersと比較すればかなりの差がついている。

Web上のトラッキングデータを調べる領域であるWeb Insightsのデータによると、2025年1月から12月までのVRChat公式ページへの総訪問者数は、世界全体で6.5億アクセスとかなりの数だ。国家を市場として区切った場合に公式ページへの訪問者数のシェアを見ると、日本が37%でトップ市場となっている。おおよそ年間2.4億アクセス、一日辺り65~66万前後のアクセス数を稼いでいる事になる。日本市場における関心の高さがうかがえる内容だ。2位のアメリカは27%と人口比で言えばやや少なめである。日米を合わせると60%以上のシェアとなることから、日本とアメリカが『VRChat』のメイン市場と言える状態だ。

米国が公式ページを訪れにくい理由として考えられるのが、米国においてはVRChatをスタンドアローンで遊ぶ事も選択肢の一つに入るという事情によるものだ。Meta Quest2や3といったスタンドアローンタイプのHMDが普及しており、そこから直接VRChatを起動して遊ぶ事が可能であるため、公式サイトを訪れる様なデスクトップ、あるいはVRユーザーでもPCを利用するといった層は、日本に比べ割合として少ない状況にあると見える。

公式ページの2025年1月から12月までの訪問者数の推移を見ると、日本では2025年7月から上昇傾向が確認でき、9月には2,300万を突破している。この数字は、アメリカにおける9月の訪問者数約1,000万の2倍以上となっており、日本での注目の高さが確認できる状況だ。配信者であるスタンミじゃぱん氏がVRChatで遊ぶ様子を配信しユーザーが大量に流入した、いわゆる「スタンミショック」と呼ばれる現象は2024年に発生しているため期間外と考えられる。今回の流入についてはそれこそ口コミ由来で自然発生的に増加したものという可能性はあるだろう。
大きな後押しとなるモバイル版
VRChatはHMDを利用したプレイングがコアな要素として取り上げられ、実際にプレイ時の没入感は向上する。その一方で、外出時に手軽にプレイ出来ないというデメリットも抱えている。そこでモバイル版『VRChat』が2025年10月にリリースされる事となった。モバイル版ではアクセスの容易さに加えて通知機能がサポートされており、『VRChat』を起動することなくイベントなどの情報を受け取ることが可能となっている。

モバイル版はAndroidが先行でテスト版をリリースし、その後正式版が実装された。次いでiOS版もリリースされ、晴れて「モバイル版」として市場を獲得する準備が整ったのは昨年の話であった。Sensor Towerのデータによると、2025年10月25日から11月30日までの世界におけるモバイル版『VRChat』のダウンロード数は27万以上。同期間の市場別ダウンロード数シェアでは日本は26%を占めており、アメリカの47%に次ぐ2位のシェアとなっている。先述したスタンドアローンのHMDで遊ぶ文化があるアメリカでは、モバイルという手軽な手段でもアクセス出来るようになった事で人口の流入は増加の一途を辿っているとの事である。
日本市場はVRChat公式が見逃せない規模
日本におけるマーケティングでは、過去には日産自動車が軽電気自動車「日産サクラ」の発表や自社プロジェクトの宣伝を行ったり、サンリオがバーチャルサンリオピューロランド内で無料で楽しめるパレードを実施するなどした「SANRIO Virtual Festival」を実装したり、あるいはスーパーマーケットブランド「ベルク」が自社製品を題材としたミニゲームを集めたワールド「Belc Land」を製作、ハンバーガーチェーンのマクドナルドやモスバーガーがそれぞれ自社製品のアピールを行うワールドを製作するなど、企業や様々な団体が広報活動のフィールドとして積極的に利用する動きを見せている。


2025年12月には、企業・団体向けの日本初開催の公式ビジネスカンファレンス『VRChat Japan Business Experience 2025』が開催されており、VRChat運営側も日本市場を見据えてビジネス向けのセールス展開を行っていくとの気構えを見せている。もちろん一般ユーザーの制作したコンテンツ量は米国ユーザーの制作者数を遥かに凌ぐ程多く、「何かしら作ったり、改変した」というユーザーの多さは公式チームも驚きの声を上げていたほどである。
今回の調査によって改めて日本市場が無視できない規模に巨大であり、少なくともVRChatというコンテンツにおいては今後注力すべき市場であるという事を裏付けるものとなった。今後どのような展開を見せていくのか、まだまだ目が離せない状況が続きそうだ。
