モンスターハンターワイルズ、Steam版パッチで改善報告多数 決算報告が苦しい中起爆剤を投下出来るか

モンスターハンターワイルズの肉焼きシーン

 株式会社カプコンより発売中のハンティングアクションゲーム「モンスターハンターワイルズ」。ベンチマークソフトは動いたものの、製品発売後にPC版での負荷増大報告が相次ぎ、結果として多くのユーザーが同作に対して「処理の最適化が甘いのではないか、作り込みが足りないままではないか」という不安と不満を抱くに至ってしまった作品だ。そんな同作のSteam版に2025年1月28日、「Steam:Ver.1.040.03.01」へと更新するパッチが当てられた。今回の記事ではそれにフォーカスしつつ、先日発表された決算報告の内容も盛り込んで追いかけてみよう。

パッチによる劇的な改善

 さて、今回のパッチを当てた段階でゲームを起動するとどうなるかという所から見ていくとする。ゲームを起動すると、以下のスクリーンショットの様なウィンドウが表示される。これは現在のPC環境に合わせた最適化設定を行うものだが、これを行った上で各自設定項目を調整していくのが開発チームの目指している所と思われる。

 肝心のゲーム起動についてだが、筆者の環境ではアップデートが重なる度にどんどんとタイトル画面のフレームレートが落ち、カクカクという表現では済まないレベルにまで不安定な状態が続いていた。このパッチを適用後のタイトル画面はというと、一瞬だけカクつきが見られたものの、その後は一切フレームレートの大幅な低下が見られない。なんと数カ月ぶりにタイトル画面での表示が安定しているのだ。

 とはいえこれは負荷の面から言えば序の口だろう。「火窯の里 アズズ」に入った途端にかなりFPSが落ち、まともに移動するのも億劫で辞めてしまった経緯を持つだけに、データを読み込むのも少々不安であった。しかしそれは杞憂である事がすぐにわかった。少々フレームレートが安定しない所はあるが、それでも圧倒的に「動ける」のである。

 そのカラクリは恐らく今回実装された「CPU」に関する設定項目だ。例えばグラフィックボードはRTX 3060 12GBであっても、同世代のCPUでは、現行最高峰のCPUと比較してスペックはかなり劣る部類に入る。そのため元々のCPU負荷が軽量化されない限り、モンスターハンターワイルズの動作の安定性は保証されていなかったのだ。CPU周りの処理負荷を調整するメニューは以下のスクリーンショットのとおりだ。

 アニメーションの設定や環境生物の挙動、エフェクト表現の調整などは恐らくCPUをメインに使用していたものと思われる。これを今回項目を低めに設定したところ、快適な動作となったのである。エフェクトが盛られて非常に重かったヌ・エグドラ戦なども難なくこなす事が出来たので、この設定の効果は相応に表れているものと思われる。SNSでは一部のユーザーから動作検証の結果が報告されており、いずれも「動作が軽くなっている」という事を裏付けている。設定項目に関するnote記事もまとめられており、ユーザーからの反応は上々だ。

 現在の原稿執筆時点でのSteamレビューについても好評となるレビューが大量に寄せられており、動作環境の不安定さに対する懸念や軽量化措置に対しての好感触が見られる状況だ。ある種これまでのアップデートとは違う「ユーザーが求めていたもの」という所にようやく着地できたと言ってもいい。

 今回のパッチで動作が快適になり、今後実装されるパッチでは遠距離に表示されているモンスターの姿を調整するLODの段階的実装も行うとされている。ようやく日の目を見るかもしれないモンスターハンターワイルズであるが、一部のユーザーからは「一年発売が早かったのでは」という声も聞かれている。それが表れているのが、今回のカプコンの決算報告だ。

厳しい売れ行きとマスターランク実装は有り得るか

 2026年1月27日に、株式会社カプコンは決算短信を発表した。主なゲームソフトの売れ行きも含めた状況が開示される事となり、渦中のモンスターハンターワイルズの動向がどうなっているか注目が集まっていた。そこで開示された情報の中の販売本数について、以下に抜粋を行った。

 この表の「25/12」という欄の数字は、2025年4月1日から12月31日までの売上本数を表している。デビルメイクライ5やバイオハザードシリーズが急進を見せ、ストリートファイター6もまずまずの本数増加を見せている。そして肝心のモンスターハンターシリーズであるが、前作であるライズ、そして拡張DLCであるサンブレイクが共に100万本以上を売り上げ、サンブレイクが1000万本の総販売数を成し遂げている。一方のワイルズは99万本に留まった。これがどういう事かというと、ワイルズは2025年の新規タイトルながら、4月以降の販売本数において「過去作に負けてしまっている」という事である。

 もちろんライズやサンブレイクはNintendo Switch向けのモンスターハンターシリーズという事もあり、Nintendo Switch2の流通量増加に伴ってユーザーも増えた可能性はある。とはいえワイルズに対しては、数字が正しいならば発売直後の初動は1000万本というメガヒットとなったが、その後が伸びないままになってしまっている。公式の発表によれば、2025年9月30日時点で前々作モンスターハンター:ワールドは2190万本、『モンスターハンターワールド:アイスボーン マスターエディション』も含めれば2910万本という数字だ。これを見ても、ワイルズは半分近い本数しか売り上げられていないのだ。なおアイスボーン単体で1590万本売り上げている。やはり伊達ではない本数なだけに、ワイルズの勢いの伸びなさは辛い所である。

 今後の改善が上手くいくことで、ようやく製品としてのスタートラインに立てるであろうモンスターハンターワイルズ。同作が「最後のモンスターハンターシリーズ」となるのか否か、カプコンの本気が試されている状況だ。

 

1995年名古屋生まれ。Eスポーツニュースエディター。Eスポーツ専門雑誌の記者として5年勤務後、独立。国内外のEスポーツ業界の最新ニュースや特集記事をお届け。