不正アプリにご用心 呪術廻戦やポケットモンスターの類似アプリに警戒の声

呪術廻戦のキービジュアル

 今も昔もよく似たパチモノが売られているケースは多々あるが、昨今の情報化社会においてはパチモノといっても一笑に付す事が出来ないレベルで厄介な相手も存在する。

 2025年12月25日、X上にて「呪術廻戦 アニメ公式」アカウントが注意喚起のポストを行った。その出だしは「現在各ゲームプラットフォーム上に、『呪術廻戦』関連コンテンツを無断利用したゲームアプリケーションが配信されていることを確認しております。」というものであった。

 現在Google Playストアなどで見られる類似アプリは、呪術廻戦だけに留まらず、昨年からリリースされているポケットモンスター類似のアプリも警戒対象として浮上している。今回はそんな類似アプリとこれまでの「非公認ソフト」との違いを含めて、追いかけてみよう。

呪いの不正アプリ

 今回ターゲットとなった呪術廻戦に対して、酷似しているビジュアルのアプリは「Domain Duel」「呪術覚醒:呪いの力」といったものが挙げられる。前者はストアから削除されているがAPKファイルのダウンロードは可能な状態で、後者はあろうことか現在もストアにて配信されている。ビジュアルとしては漫画作品「呪術廻戦」のキャラクターそのままのモデルが戦闘を行うという、どうあっても公式側から訴えられるに十分な内容となっている。

 またポケットモンスターに類似したアプリとしては「ポケットピクセルワールド」や、最近話題となった生成AIを利用した無許可イラストが目立つ「最強トレーナー DX」などが存在する。前者は未だにストア上にあるが、後者は早々にGoogle Playストアから取り下げられた。

 こういったアプリは元となるデータをソフトウェアから抜き出した非公式なもの、あるいは最近では生成AIを用いて「それらしく」出力されたものが中心となっている。そのため一見すると公式のアプリらしく見えるが、挙動や日本語などの不完全さで判別が比較的容易な状況となっている。

 そしてこの手のアプリでメールアドレスやパスワードを登録してしまった場合、その情報がコンテンツ提供側によって読み取られ、不正に利用される可能性が大いにある。余計なトラブルに巻き込まれる事を避けるためにも、この手のアプリを警戒するに越した事はない。いわゆる「海賊版」や「非公認ソフト」に比べ、その悪性は遥かに高いといって良いだろう。

 なお、2025年に差し掛かる前後で、モンスターハンターワイルズの発売に合わせたように非公認ソフトである「Monster Hunters」というよく似たキービジュアルのソフトがPS Storeに出ていた。こちらは即座に削除対応がなされている。

昔と今とで違う事情

 この手のソフトは昔から存在はしているものの、その迷惑さのベクトルは相当に違うものであった。最近話題となったのは、スーパーファミコンのソフトを利用して改造・製作された「SM調教師瞳」シリーズだろう。X上ではスーパーメトロイドを中古で購入したはずが、同作が入っていたという驚きの報告が上がっている。

 この手のソフトの作り方としては、廉価で大量に販売されているソフトが改造元のターゲットとされる事になる。これを買付し、分解しROMを交換し、再度装着しなおしてシールを上から張ることで元のソフトに偽装するのだ。その理由は単純なもので「バレないように売るため」である。なお同作は主に値崩れしたスーパーファミコン用ソフト「ジーコサッカー」に移植されていたため、不名誉ながら「ジーコ」という呼び名まで付いてしまっている。

 この手のソフトは一部の愛好家の間では相応の値がついているが、メーカー非公認のソフトであるためそもそもソフトの動作保証外となり、本体が故障しても保証対象外である。しかし中には他ハードで展開しているものを強引に移植する、いわゆる「勝手移植」の対象となっているソフトも存在しており、シミュレーションゲームであるAIRをゲームボーイカラーやアドバンスへと移植している「AIR Pocket」「AIR Pocket Advance」などは技術実証的な位置付けとなっている。

 とはいえこの手のソフトは「買った本人は非公認ソフトで遊んでいるが、それ以上は早々情報が悪用される事がない」という点において、非常にローカルかつスタンドアローンな問題行為の範疇に留まっている。この手のソフトを手に入れる事そのもののハードルが高く、また場合によっては動作させるのに知識が必要であるなど、一筋縄ではいかない。

 だが今回取り沙汰されているアプリは、インストールに特段の手順が必要なものは少ない。公式側で未だに弾かれていない状況を見ても、容易にプレイ出来てしまうのは明らかだ。そして更に悪い事に、この手の非公認アプリは手を変え品を変え、雨後の筍の様に生えてくる。

 現状取れるのはプレイ前にパブリッシャーが正確なものであるのか、という点のチェックだ。とはいえユーザー側にも非公認アプリを見分けるだけのリテラシーが求められる時代となってしまったのは、ゲーマー側としては何とも悲しいものである。

1987年東京生まれ。ゲームニュース編集者。10年以上の国内ニュース記者および編集職を経て、現在フリーエディターとして活動中。国内・海外の業界ニュースやトレンドを中心に日本の読者にいち早く情報をお届け。