大手マインクラフトサーバー「SyuuNet」事業譲渡先募集へ サーバー制ゲーム存続の困難さ

SyuuNetのトップイメージイラスト

 2026年1月2日、Nemu Studio合同会社(本社:福岡市博多区博多駅前、代表:陣内涼)は、同社が運営するマインクラフトサーバー事業「SyuuNet」の事業譲渡先を募集している事を発表した。同サーバーはマインクラフトのデータ収集サイトNameMCによれば日本でもプレイヤー人口が多いサーバーとしてカウントされており、こちらで調べた限りでは常時30名程は最低限でも接続が見られる程の人口となっている。2019年のNameMC提供のランキングでは全世界サーバーランキング36位を記録するといった好況を収めていたが、この度サーバーの管理運営を譲渡するという決断を下したとの事であった。この背景には一体どういった流れがあるのか、公式発表を下敷きにして追っていく事にする。

サーバー設立の背景と栄枯盛衰

 SyuuNet(当時事業名はAstalte Net)は創設者であるlibhalt氏が2014年に設立したサーバーである。当初のドメイン名は創設者の名前を取って「libhalt.net」であったが、2016年に「syuu.net」へ変更。現在の名前に沿ったドメインとなる。2022年には累計登録ユーザー数が100万人を突破し、初の大型イベント「Asia PvP Championship」を開催するなど非常に賑わいを見せていたのだという。

 その後2023年に、ASA株式会社によってSyuuNetは一度事業買収が行われた。当時、現SyuuNetオーナーのじんのうち氏はASA株式会社においてeスポーツ事業部の統括責任者を務めており、SyuuNetは同社のeスポーツ・オンラインゲーム領域を担う重要なプロジェクトの一つとして位置づけられていた。

 しかし事業環境の変化や経営資源の再配分などを背景として、社内でSyuuNetのサービス終了を含む検討が進められることとなった。その中で、長年コミュニティと向き合ってきたじんのうち氏は、「可能な限りサービスを存続させたい」「築いてきたコミュニティを途切れさせたくない」という思いから、2024年に自らが代表を務めるNemu Studio合同会社(当時:Syuu Technology)を通じてSyuuNet事業を買収し、同社が運営主体となったのである。

 Nemu Studio合同会社による運営移行後の2025年3月頃、じんのうち氏のマインクラフトアカウントは第三者による不正アクセスを受け、アカウント乗っ取り被害が発生。これによるセキュリティ対応や被害の収束を優先させた結果、以前のようにSyuuNetのマーケティングや積極的なプロモーションに時間とリソースを割くことが難しくなったとの事である。またNemu Studio合同会社はマウスパッド製品の販売事業にもリソースを投下し始めている事もあり、SyuuNetと製品販売事業の両面にリソースを割くことが経営上難しい状況となったのも、サーバー譲渡の一因であると見られている。

 ただし同社は並行して、GTA VのオンラインモードであるFiveM上で、自社運営のサーバー「GTA2 City」を2025年9月より立ち上げており、こちらはサーバーアップデートも積極的に行っている状況である。直接リリース内では明言されていないが、ユーザー人口や収益化の状況も含めて「旨味が薄い」状況となった可能性は否めないだろう。Minecraftは同じボクセルライクでありながら、より多機能なゲーム交流プラットフォームとして機能するRobloxという明確な対抗馬が存在する。Robloxについてはサーバーの維持コストが掛からない分、プラットフォームとしてはややオープン寄りのサービスである。完全に特定のユーザーを入れる方針で特化しているクローズドなマルチプレイサーバーであるマインクラフトサーバーとは方向性が違うが、ユーザーのトレンドがそちらに移りつつあるという可能性は考慮されて然るべきである。

 また、オーナーであるじんのうち氏は2026年1月3日に代表を事実上引退している旨をX上にてポストしている。SyuuNetの運営は続いていくと同氏は明言しているが、その先行きが現状不透明である事に変わりはない。

 12年に渡って運営されてきた同サーバーは、公式のDiscordコミュニティも持っている程に大きなサーバーとして機能している。それだけに、これだけの顧客を抱えながら収益化を果たし続ける事が出来ないというのは昨今の市場の移り変わりを目にするようである。同様のシステムであればパルワールドもサーバーを建てるタイプのマルチプレイシステムを備えているが、同作はオフライン要素が既に充実しきっている為、マルチプレイ寄りのプレイだけが推奨されるタイトルではない。Minecraftにおいてもマルチプレイ要素自体が後付けである事を考慮に入れれば、この手の「収益を挙げる前提で、マルチプレイ用のサーバーを建てる事業」そのものの将来性について、慎重になる必要があったのではないだろうか。

 現在SyuuNetはコンペ形式で譲渡先を探している状況だ。どれだけのユーザーがそれを良しとし、またサーバーに定着し続けるのか。今後の動向に注目が集まっている。

1987年東京生まれ。ゲームニュース編集者。10年以上の国内ニュース記者および編集職を経て、現在フリーエディターとして活動中。国内・海外の業界ニュースやトレンドを中心に日本の読者にいち早く情報をお届け。